(1)硝酸でエッチングしてあったリング2つを、塩化第二鉄液につけました。

  5分経過で一度見たときは、まだ薄めの黒だったので、10分つけました。

  10分つけたあとの写真です。

  地色は黒くなり、模様は白く浮き出ています。

  ただ、やはりガサガサ感は増したようです。

黒くしても模様は白く出るのだと分かりましたが、塩化第二鉄液につけている間に、エッチングが進んで、凹凸が深くなったようです。

  ラッカーを塗ったら、凹凸の溝が埋まったせいか、見た目も滑らかな感じになりました。黒も、より黒くなった感じです。


(2)もしかして、硝酸でエッチングしなくても、最初から塩化第二鉄液につけても、模様が出るのではないかと思い、左の平板を、そのまま塩化第二鉄液に20分つけました。

すると、エッチングされて、きれいに模様が出ていました。写真は少し黒っぽくみえるかもしれませんが、肉眼ではシルバー色できれいに出ていました。ただ20分つけていたため腐食が進んでガサガサしていました。

20分間、途中で裏表をひっくり返さずそのまま置いていたので、裏側はやや薄めですが、模様はちゃんと出ています。ガサガサ感もありません。

(真っ黒の丸い模様みたいなのは、隕石の石の部分なので、もともと黒いです)

 

これをさらに塩化第二鉄液に入れておくと、黒くなるのだろうと思い、さらに10分間つけてみました。(表裏はさきほどと同じにして液に入れました)

 

いい感じに黒くなりました。ただ、ガサガサ感は増したように思います。

ちなみに裏面です。あまり液に触れてないせいか、ガサガサ感もなく、いい感じにエッチングされています。


★ここで思ったのは、できてきた指輪を、いぶし銀のようにするために塩化第二鉄液につけたら、内側もエッチングされて模様が出てしまうのではないかということです。

エッチングを防ぐために、内側にマスキングして塩化第二鉄液につけることもできますが、その場合は、内側がいぶし銀のように黒っぽくならないのでは??ということです。


 

(3) 

(2)の実験では、硝酸でエッチングしなくても、塩化第二鉄液で、エッチングもできて黒くなりました。

 ということは硝酸エッチングは必要ないのか?

 それとも、硝酸で、ごく上部をエッチングしてガサガサにならないようにしたものを、塩化第二鉄液につけたら、それほどガサガサにならず、梅村さんの写真のような感じになるのか?と思い、(2)と同じような平板を、硝酸で薄めにエッチングしました。

きれいにエッチングできました。ごく上部だけなので、触ってもまだツルツルしています。

 

ちなみに裏側はエッチングしませんでしたが、手袋から液体が伝わって、周囲がエッチングされていました。

これを塩化第二鉄液に入れました。5分くらいして見たらすでに黒っぽかったので、6分のところで取り出しました。洗うとそれほど黒くはありませんでしたが、(2)の最初から塩化第二鉄液につけたものより黒くなっていました。
さわったところ、スベスベで、腐食は進んでいないようです。

これが、Uさんの写真のリングの状態に近いのではないかと思いました。

ちなみに裏側です。いい感じでエッチングされています。


二つ並べてみると違いがよくわかるかと思います。

 

左が、(2)の硝酸エッチングをせずに、塩化第二鉄液だけに入れていたものです。(20分+10分)

 

右が(3)の、硝酸エッチングのあと、塩化第二鉄液に6分入れていたものです。


【おまけ】

最後に、実験のついでに、鉄の黒染め剤ガンブルー液につけてみようと思いました。ガンブルー液は腐食性がないと容器に書いてありました。

こちらも同じような平板に、硝酸で浅くエッチングしたものをつけたところ、1秒もしないうちにあっという間に変色してきたので、慌ててすぐ取り出しました。黒というより茶っぽくなりました。青っぽくなっているのは、ガンブルー液が青いからだと思います。すぐに取り出したので、染めムラができているようです。ガンブルー液は、隕石の白い部分の模様も色が落ちてくると分かりました。

もっと長時間つけておくと黒くなると思いますが、ここでやめました。


【結論】A、B、どちらかご希望をお伝えください。

 

A こちらで、硝酸で軽くエッチングしたもの((3)の最初の状態)をお渡しするので、自己責任で塩化第二鉄液に入れていただいて、よきところで出していただくのがいいかなと思いました。

ただその場合は、途中で書いたように、リングの内側も腐食されるので模様が出ると思います。

それを防ぐためには内側にマスキングテープなどを貼って、筆で外側だけ塩化第二鉄液を塗って、だんだん黒くするといいかと思います。(ただし、内側はいぶし銀色にはなりませんが・・・)

 

B あるいは、まったくエッチングしないで、全面磨いただけのリングをお渡しするので、ご自分で塩化第二鉄液に時間を計りながらつけていくのもアリだと思いました。

 (2)の実験ではガサガサしましたが、裏面はガサガサせず、最終的に硝酸と同じようにきれいにエッチングできたので、濃度を薄めてゆっくりエッチングしていけば、ガサガサせず、きれいにできるかもしれません。